【エステティシャン直伝】肌タイプよりも大切?「肌状態」ケアの極意
毎日のスキンケアに使う化粧品を選ぶとき、自分の肌タイプに合うものを選びたいものですよね。
実際、「自分の肌タイプに合っているか」を気にする人はとても多いですが、効果的なスキンケアの決め手は肌タイプではなく「肌状態」にあることはご存じですか?
エステサロンに行ったとき、以前と違う診断をされた経験をお持ちの方も多いかもしれません。それは、美容のプロがお客様の肌を診断するとき、まず注目するのが「現在の肌の状態」です。エステサロンでは、毎回カウンセリングで現在の肌状態をしっかりチェックし、その時に必要なケアを提案しています。
それでは、「肌タイプ」と「肌状態」の違いは何なのでしょうか?
そこで今回は、肌タイプと肌状態の違い、そしてなぜ肌状態に注目すべきなのか、効果的なスキンケアの秘訣をご紹介します。
目次
そもそも肌タイプとは?
肌タイプとは、一人ひとりの肌が持つ基本的な特性や傾向を分類したもので、皮脂の分泌量や水分保持能力など、肌の生まれつきの性質に基づいて決定されます。
肌タイプは、遺伝的要因で決まることがほとんどで、長期間大きく変化しない、個人が持つ肌の「素」のようなものといえるでしょう。
4つの基本肌タイプ
一般的に、肌タイプは普通肌、乾燥肌、脂性肌、混合肌の4つに分類され、多くの化粧品がこの4タイプに合わせて開発されています。
4つの肌タイプの特徴は下記にまとめた通りですが、実際には「完全な普通肌」や「純粋な乾燥肌」という人は少なく、ほとんどの方が複数の特徴を併せ持っています。
一番多いとされるのが、乾燥と脂性が混在する「混合肌」といわれています。
【基本の肌タイプ】
・普通肌:バランスの取れた、トラブルの少ない理想的な肌質
・乾燥肌:皮脂の分泌が少なく、乾燥しやすくカサつきがちな肌質
・脂性肌:皮脂の分泌が多く、テカリやニキビが出やすい肌質
・混合肌:Tゾーンはオイリーで、頬はドライという複合的な肌質
肌タイプ分類の限界
上記のように普通、乾燥、脂性、混合の肌タイプ分類は、実は私たちが自分の肌に合った製品を選びやすくするために化粧品業界で開発されたものであり、皮膚科学的に正式な分類ではありません。
実際の私たちの肌の状態はとても複雑で、単純な分類では捉えきれない面が多くあります。
例えば「10代のときはニキビに悩んでいたのに、20代になってから乾燥するようになった…」「夏場は脂っぽいのに、冬になると乾燥が気になる…」といった肌の変化を感じたことはありませんか?
このように、私たちの実際の肌は、時間や季節、環境などによって変化するため、固定的な「タイプ」で分類するのはとても難しいのです。
肌タイプではなく「肌状態」がなぜ重要?
生まれつきの性質である肌タイプとは違って、「肌状態」とは、その時々の肌の状態を指します。これは一時的なもので、以下のような要因によって変化します。
・環境(気候、季節、気温、汚染)
・ライフスタイル(食生活、睡眠、運動、ストレス)
・間違ったスキンケア(ピーリング剤や不適切な化粧品の使用、過剰なケア)
肌状態に注目することが重要な理由は、これらの要因がすべて肌の状態に大きな影響を与えるからです。
固定的な「肌タイプ」にとらわれるよりも、その時々の肌状態に合わせたケアを行うことで、より効果的なスキンケアが可能になります。
肌状態を知って適切なスキンケアを
前項までに記載した通り、肌状態は環境やライフスタイルなどによって変化します。
そんな肌状態に合わせたケアを行うためには、自分の肌状態をしっかり理解して、適切なスキンケアを選ぶことが重要です。
代表的な肌状態
肌状態に合わせたケアを行う上で最も重要なのは、自分の肌を観察して今の肌状態をしっかり理解することです。
とはいえ、肌状態の判断は慣れるまで難しい部分もありますので、代表的な肌状態の例をいくつか記載しました。
自分の肌が今どの状態にあるのか、一度チェックしてみてください。
・脱水:しなやかさと柔らかさが不足しており、時々つっぱり感を感じ、肌表面に小じわが目立ちます。
・乾燥:常につっぱり感やざらつきがあり、保水力が低く、肌のバリア機能が低下しています。
・敏感:赤みが出やすく、不快感や刺激感、かゆみを伴います。
・毛穴が目立つ:肌が厚く、毛穴が開きやすい状態で、ニキビや黒ずみの有無にかかわらず、特に顔の中央部にテカリが見られます。
・くすみ:肌のハリや活気が失われ、疲れた印象が見られます。
肌状態に合わせたケア方法
肌状態を理解したら、次はそれに合わせたケア方法を選びましょう。
これまでのように「この肌タイプだから、このケアでいい」という固定観念から離れ、今の肌が本当に求めているケアを始めることが大切です。
例えば、同じ乾燥肌の方でも、単なる水分不足なのか、バリア機能の低下が原因なのかによって、最適なケア方法は変わってきます。
以下は、各肌状態に対応するケアのヒントです。
まずは現在の肌状態をしっかりと見極めて、そこから必要なケアを組み立てていきましょう。
【肌状態ケアのヒント】
・洗顔後の肌がつっぱる場合
うるおいケアが必要です。たっぷりの化粧水を含ませたコットンでやさしくゆっくりパッティングし、肌をみずみずしく整えましょう。
・日中のつっぱり感が気になる場合
バリア機能が低下しています。美容液やクリームでしっかり保湿&油分補給のケアを。
・肌が敏感になって赤みが出る場合
肌が荒れている証拠です。刺激を抑えた低刺激のスキンケアで、肌をやさしくケアしましょう。
・テカリや毛穴の黒ずみ、ニキビが気になる場合
余分な皮脂をオフして肌を清潔に保つケアを。水分が足りないと、皮脂が過剰に分泌してしまうため、保湿も重要なカギとなります。収れん効果のある化粧水等をコットンにたっぷりとり、軽くパッティングしながら毛穴を引き締めましょう。
・くすみが気になる場合
ピーリング効果の高い化粧品でターンオーバーを整え、保湿もしっかりし、肌本来の透明感を引き出すケアを。ビタミンC誘導体などブライトニングが期待できる成分もおすすめです。
季節に応じた肌状態ケア
季節の移り変わりとともに、肌は気温や湿度の変化、紫外線に適応する必要があります。
私たちの肌は、季節の変化を敏感に感じ取るバロメーターのような存在。例えば、春と秋の気候の変わり目には肌が不安定になりやすく、夏と冬では必要な保湿ケアの量も大きく異なります。
そのため、スキンケア製品や方法も季節に合わせて調整することが重要です。
・春のスキンケア
寒暖差によるバリア機能の低下や花粉などによる肌荒れが気になる季節です。肌も敏感になりがちなので、刺激の少ない化粧品で労わるスキンケアがよいでしょう。また、しっかり水分&油分の補給もしましょう。
・夏のスキンケア
強い紫外線と汗、皮脂などによって肌への負担が大きくなる季節です。肌を守る紫外線ケアの徹底と、汗をこまめに拭き、過剰な皮脂をコントロールするスキンケアがおすすめです。また、エアコンや紫外線によるインナードライ対策に、水分ケアも忘れずに。
・秋のスキンケア
秋は、夏の疲れが出やすく、肌が不安定になりがちです。空気が乾燥し始める時期でもありますので、徹底した保湿ケアと、肌の回復を促す集中ケアを取り入れるのもよいでしょう。近年、「秋は一年で一番老化する」と言われているので、この時期のスキンケアは非常に重要です。
・冬のスキンケア
冬は、寒さと乾燥で肌がかさつきやすく、バリア機能が著しく低下する季節です。化粧水はしっとり保水力の高いものを使い、こっくりとした油分リッチなクリームを取り入れるのがおすすめです。
このように、季節に合わせたスキンケアの調整を行うことで、1年を通して健やかな肌を保つことができます。それぞれの季節に合わせた適切なケアで、1年中健やかな肌を保ちましょう。
エイジングケアと肌状態の関係
ここまで、ライフスタイルや季節による肌の変化に適応したスキンケアについてご紹介してきましたが、肌の老化に対するケアはどのようにしたらよいのでしょうか?
肌の老化は、すべての肌状態に関わる重要な要素です。年齢を重ねるにつれて、私たちの肌は様々な変化を経験しますが、その時々で適切なケアができたかどうかが美しい肌を維持する鍵となります。
実際に、同じ年齢でも人によって肌の老化に差があることがありますよね。これは、日々の肌状態ケアがエイジングケアにおいても重要な役割を果たしていることが原因のひとつといえます。
正しい肌状態チェックの方法
エイジングケアを効果的に行うためには、定期的な肌状態のチェックが欠かせません。
定期チェックと聞くととても大変なことのように思えますが、基本は、意識的に自分の肌を観察するだけで大丈夫です。
例えば、朝の洗顔後、日中のメイク崩れや乾燥具合、夜のクレンジング後など、鏡を見るタイミングで肌をしっかりみてみましょう。
このチェックを習慣づけることで、肌の変化にいち早く気づき、適切なケアを行うことが可能になります。
簡単な肌チェックのポイントをご紹介しますので、ぜひご自宅でためしてみてください。
【スキンケアを最適化!1回1分でできる4つの肌チェック】
・朝の洗顔後
朝の洗顔後、明るい自然光の下で肌のキメやくすみ、ハリ、毛穴、乾燥状態を確認します。さらに、指先で肌触りをチェックすることで、より正確な状態把握が可能です。これにより、前夜のスキンケア効果や肌の水分量、ターンオーバーの状態、血行状態、肌のバリア機能を把握できます。
・日中
日中は、特にTゾーンと頬のテカリ、化粧くずれ、乾燥、赤みをチェック。必要に応じてティッシュオフテストで皮脂量も確認します。このチェックで皮脂バランス、メイク持ち、肌疲労度、環境ストレスの影響が分かります。
・夜のスキンケア前
クレンジング後にメイク落ち、ニキビや吹き出物、エイジングサイン、むくみなどを重点的にチェック。鏡と指先を使って入念に確認することで、1日の肌負担度、クレンジング効果、肌トラブルの兆候、疲れの蓄積状態が分かり、最適な夜用スキンケアを選べます。
チェックは、1回1分程度で十分です。朝・昼・夜の3つのタイミングで、それぞれの時間帯の異なる肌状態を確認し、その時々に必要なスキンケアを選択していきましょう。
たとえば、朝のくすみが気になり始めたら、透明感を引き出す美容液で肌を明るく整え、保湿クリームでしっかり潤いをキープ。夜のむくみが気になる場合は、クレンジング後にタッピングマッサージを行い、その後にペプチド等の肌本来の力をサポートする成分配合の美容液で肌をケアする・・・など、手軽なチェック習慣と適切なケアの組み合わせが理想の肌に近づく第一歩となります。
プロによる肌診断も有効
自分で判断するのが難しい場合は、プロの意見を聞くことがとても有効です。
エステティシャンによる定期的な肌診断を受けることで、より専門的な視点から肌状態を把握し、年齢に応じた適切なケアアドバイスを受けることができます。
自己診断では気づきにくい肌の変化も、プロの目があれば早期に発見でき、一人ひとりに合わせた美容評価により、適切なケアを適切なタイミングで提供することができます。
なかなかエステにはいけない、そんな方は、エステティシャンの肌診断の技術を踏襲したスマホでできる「オンライン肌チェック」を活用してみてください。顔写真と肌に影響を与える環境やその他の外的要因を加味した分析により、肌をより深く理解し、AI機能によって、今の肌に適切なスキンケアルーティーンのご提案が可能です。
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まとめ
今回は、肌タイプと肌状態の違いと肌状態に注目すべき理由についてご紹介しました。
効果的なスキンケアの秘訣は、固定的な「肌タイプ」にとらわれるのではなく、日々変化する「肌状態」に注目し、それに合わせたケアを行うことです。
自分の肌をよく観察し、環境やライフスタイルの変化に応じてスキンケアを調整していくことが、理想の肌への近道となります。
お気に入りのスキンケア製品を見つけて、肌の変化を喜びながら、楽しく美しい肌を手に入れていきましょう。